「え!!!何この染み!!!!!」

可那が白いロングコートを両手で広げながら叫んだ。


「アールグレイだよ。」

真顔で言ったのが美月だ。右手の親指にだけゴツゴツとした重量感のあるリングをしている。


「アールグレイだよオホホ。
じゃねーんだよ!!もう!…これ…だって…25万…円、
…。
いや!お金じゃない!
まず、白いものに赤茶色い液体を溢して、なんでそのままにしとくわけ!?
なんでそんなにガサツなわけ!?」

「え、拭いたら染みが広がっちゃったから。仕事は最小被害、私達いつもそうしてるじゃない。
手出してみてマズそうならすぐ退く。そうでしょ?」

「これは仕事じゃないじゃないでしょ!
あたしの白いコートに、あんたのセンス悪い紅茶が溢れたの!染みになったの!25万…、いや、お金の話じゃない!
だいたいアールグレイなんていつの時代の女子なのあんた!
17歳でそのセンスは無し!」