「それで?」

リリは鼻先までずり落ちたメガネのフレームの上から美月を見た。


「うん、立花から片桐に連絡あって。」

「殺人未遂に何で公安が絡むのよ。」

「本当に偶然みたいだよ。まあ、わからないけど。
あ、アールグレイ飲む??」

美月は言いながらポットの方へ歩いた。
濃い茶褐色の重厚な棚の上の金色の電気ポットのスイッチに美月が触れるとカチッという音と共にオレンジ色のランプが点灯する。


「え、何そのセンス悪いポット!!」

美月の髪がビクッと上に跳ね上がった。


「…。悪いかな…センス…。」

「悪いでしょ!金色て!こすったら魔神でも出てきそう。」

「あ、…そうかな。うん。」