「ちょ!なによもう、読まないわ…え?」

可那が妙に軽いそのハードカバーを開く。


「なにこれ!盗撮!?」

本は箱状になっていて、中には小型CCDカメラがあり、レンズ部分はカバーのタイトルの文字と同化していた。


「防犯用だよ。そしてそれをリリが多分いま見てると思うけど。」


ピリリリ━


「ほら」

ケータイのディスプレイを見る可那は明らかに戸惑っている。


「出てあげなよ。」

クスクスと笑いながら美月は可那を促す。


「わかったわよ!
…はい。ああおはようリリ。どうし…
あ、いや、気味悪いっていうのは勢いでっていうか、うん、本心じゃないっていうか、
ほらあるでしょそうゆうこと。うん、いや、そうゆう意味じゃないの!ほ、ほんと!
え、いまから??いや、うん、…わかった。」

終話ボタンをおして可那は深いため息をつく。


「なに?リリいまから来るって?」

「…うん、来るみたい。どうしよ。
…あんたのせいだからね。
何か苦手なのよ。リリの前だとどうしても弱気になっちゃう。」