「いざ目の前で瑠樹也が憎み続けてた人間を目の前にして…本気で頭をぶち抜いてやろうかと思ったんだ……。そんな自分が怖くて…気付いたら手が震えてた」



「……………」



「アハハッ!!バカみたいだよね!!いつもは平気で人を撃ったりしてるのに、そんな時だけ――…」



「それでいいんだよ」



「えっ?」



「それでいいんだよ、水樹は」



あたしは意外な言葉に固まってしまった。



「戸田……さん?」



「……確かに俺達の仕事は平気で人を銃で撃ったり出来る様な仕事だ。時には人を殺めてしまうことだってある。でもな、水樹。お前はまだ心が綺麗なんだよ。“人を殺した、仕方がなかった。'なんて割り切れる人間のほうがハッキリ言っておかしい。水樹は……正しかったんだよ」



戸田さんは真面目な声で話してくれた。



そう…なのかな?



だってあたしは…確かに人を殺めたら……普通にはしていられない。



いくら悪人だからと言っても、罪悪感は消えることはない。



だって



どんなに腐った人間だって、みんな同じくらい大事な命を持ってるんだから。



「あたし…おかしくないのかな」



あたしは戸田さんに助けを求めるように問い掛ける。



どうして…
こんなこと聞いてるんだろう。



でも。



「おかしいわけがない。水樹は綺麗だよ」



戸田さんはそう言って、優しく頭を撫でてくれた。



「水樹は水樹のままでいろよ」



そう付け加えると、あたしを抱き締めた。



「ありがと…戸田さん」



今の言葉で、凄く救われた。



やっぱり戸田さんは凄いや。



全てに置いてが。