すると隣から戸田さんの声が飛んできた。



「司令官、ホテルに戻ったらドクターを呼んで下さい。水樹の怪我が心配です」



「あ、あぁ。連絡しておこう」



司令官はケータイを取り出し、電話を掛けた。



――ホテル。



「水樹、立てるか?」



戸田さんはあたしを気遣って、肩を押さえていてくれる。



「うん…ありがと♪」



あたしは痛みに耐えながら、笑顔を向けた。



――だけど。



「――っ!!ったぁ…」



あたしは突然の激しい痛みに体のバランスを崩してしまった。



「水樹っ!!」



ガシッと体を支える戸田さん。
あたしは痛みのあまり、お礼を言うことができない。



「はぁ、はぁ…」



あたしは息を乱しながら戸田さんに体を任せる。



「水樹、ちょっと悪い」



「……え…?」



気付いた時には、体はふわっと宙に浮いた。



そう、戸田さんにお姫様だっこされていた。



「と、戸田さんっ!?」



「歩くの辛いだろ?部屋まで送ってく」



「えっ…悪いよっ!!」



「気にすんな。これくらいのことで」



戸田さんは優しく笑うと、あたしをお姫様だっこして部屋へ向かった。