(そんな筈…まさか…。)



闇原黒也は力を暴発させた原因を知っていた。

手紙。

黒也はコートを羽織って慌てて玄関に飛び出した。



「悪かったな。澪原。少し出掛けてくる。」

「闇原?どうしたんだ?」

「すぐ戻ってくる。」

「闇原さん!!」



バタンッと閉まるドア。

残された磁波エレキと澪原水流。

水流は様子が変な事が分かった。

後を追おうとしたが、行く先を知らない。



「あの手紙…。確かアソコに置いたな。」



水流は立ち上がってテーブルに置いてある封筒を手に取る。

中身を出す。

エレキも後ろから覗いた。



「良いんですか?澪原さん、見ちゃって。プライベートなモンだったらどうします?」

「う~…!!もう開けちゃただろうが!!」



恐る恐る便箋を開く。

プライベートだったら瞬時に片付けよう。

開けてしまった。


しかし、彼等は首を傾げる。



「何だ?コレだけ?」

「短い手紙ですね。良かったじゃないですか。闇原さんに殺されるような内容じゃなさそうで。」

「はぁ…そうだな…。ぶっ殺される所だ。」



しかし、澪原水流はこの手紙が尋常じゃない事ぐらい解っている。



(この言葉は…、何かの解除式…。珍しいモノだ。『表』で使える奴なんて滅多にいないはず…。)