「お前、コイツ等は殺さなくていい…。」

「貴方のためです。」

「ふざけるなよ…。」

「澪原?」



青年は更に服の袖からナイフが現れる。

赤次は澪原水流の表情が変わった瞬間を見た。

数分前とは、全くの別人。
殺し屋と同等の目付きをしている。



「…下手すると、お前を排除するぞ…。」



水流は腕を横に素早く振った。
勿論、何も起こらなかった。

しかし、青年の後ろの樹は真っ二つに割れていた。
刃物で斬ったような綺麗な切り口。



「…申し訳ありませんでした。でも、『約束』なので邪魔をするような事があれば排除します。」



青年は一瞬にして姿を消した。
澪原水流は普通の表情に戻る。

そして、彼も逃げるように、その場を去る。

黒川赤次は斬り倒された樹を見る。
その場に黒井颯心もいた。


「水圧だな。水圧は鉄おも斬ることができる。しかも、あの速さときた。」

「赤次さん、やっぱり、アイツは『裏』ですよ。こんな力を隠し持ってた。」

「もしかしたら、黒也よりも強い…。」