「…あぁ~…寒い…。」



黒川赤次は小刻みに震えながら外を歩く。

彼は思う以上に薄着。

人通りの少ない道を通る。



「あれ?赤次さんじゃないか。夜遊び?」



ビルの屋上から飛び降りてきた1人の少年、黒井颯心。

この町のメッセンジャー。
学校の制服を着ている。



「颯心。お前こそ、こんな時間に何してんだ?」

「別に。オレは夜行性ですから。夜動くんですよー。黒川先生。」

「何の言い訳だ。」



赤次と颯心は近くの公園に入り、ベンチに座る。

深夜なので周りに人は少ない。
大人しか出歩いていない。



「なぁ、赤次さん。あんた、身体悪いんじゃなかったか?」

「多少な。元々、持病持ちだ。それが、どうした?」



黒井颯心は他人の内なる声を聴くことができる。

能力の1つ。

彼はきっと何かを赤次の何かを聴いた。

赤次は暫く考えてから言う。



「他の奴には言うな。言ったら、お前の成績下げるからな。」

「……承知。つーか、脅しだ。」



2人は黙り込む。

そして、目の前にある人物が通り過ぎる。



「アイツは…黒也の…。」

「あー、闇原の知り合いの悩みごとがなさそうな奴。」

「失礼だぞ。」



青い髪のよく見る青年だった。