―多彩荘・南区―


多彩荘。
青崎氷河の部屋。



「水流ー、コタツの中で寝るなよ。」

「…ん?良いじゃんよー。」

「お前は猫じゃないんだから、コタツの中で丸くならなくていいから。」

「え~。」



澪原水流は氷河の部屋を占領していた。
コタツの中にスッポリと入っている。

氷河は仕方なく、近くの床に座る。



「ほら、お茶。」

「ありがとう。」



水流の視界に入るようにお茶を置く。

彼は手を伸ばす。
動きが鈍い。
闇原黒也の事で色々と考えているのだろう。



「ねぇ、氷河。蜜柑ないの?」

「何?今、食べるの?」

「うん。」

「お前も好きだな。」



戸棚から蜜柑を取り出して投げる。
水流はキャッチして、皮を剥く。


「オレ、やり残した事があるんだよね。」

「は?」

「………。いやいや、何でもない。そうだ!!氷河くん、今日はこの部屋に泊まっていくから。」

「えー…、お前。」



蜜柑を口いっぱいに詰め込む。
今は言えない。

そして、お茶を飲み干した。