「今日は楽しかったなぁ〜。まだまだここで話していたい気分だよ。」
明衣は名残惜しそうな表情を浮かべながら、ゆっくりと立ち上がる。
“ピリリリリ”
すると、突然…携帯電話の着信音が響いた。
「あっ、私だ…。」
すぐに言葉を発したのは明衣。
ブレザーのポケットに手を入れると、そこから携帯電話を取り出した。
「部活の友達からだ…。ちょっとごめんね…。」
申し訳なさそうに言うと、明衣はベンチから少し離れて、電話の相手と話をし始めた。
「とりあえず、明衣の電話が終わるまで待とっか。」
「うん、そうだね…。」
頷きながら答えると、翔琉くんはニコリと微笑んだ。