「…あのファインズさん
中の話し声が聞こえないんですけど」



「……上手くいったんじゃないのかな?」



「あなたってエリシャさんのこと
信じてるんですね」



「そりゃ信じてるよ
だけどエリシャも同じぐらい
わたしを信じてくれてるんだよ」



「ふーん……」



――ガチャ…



トムの部屋の扉が開いた



「…トム…」


ジャックはトムの名前を呼んだ


トムは一呼吸おいて…




「ごめんなさい」


頭を下げたトムをみて
ジャックは目を見開いた



「…俺…勘違いしてた
あんたは姉さんを見捨ててなかった」



「…あ、頭を上げてくれトム」


戸惑っているのか…ジャックの
しゃべり方はいつもより
挙動不審だった



…だけど



戸惑いの中に確実に嬉しさがある