トムはしばらく黙ったまま
「…あなた…真実を知ってどう思う?」
まだ言いにくそう…
「ジャックとアレックスに
聞こえないように喋って?
私がちゃんと聞く」
するとトムはゆっくりと
口を開いた
「…俺…姉さんが手術を拒否したって知らなかった…
あいつは俺に
『わたしがレイチェルに
手術を受けないでほしいと言ったんだ』
って言ってきた…
なんでホントのことを俺に…」
「あなたは何がなんでも
手術を受けさせたでしょ?
レイチェルがどんなに拒んでも…
あなたとレイチェルが
そこで言い争ってほしく
なかったのよ…」
「…それで…俺あいつのこと殴った
…もう姉さんを殺すような奴と
一緒にいたくないって思って
家を出た…アレックスの家で
暮らしてる間にあいつは
俺のこと忘れてると思って
だって探さなかったし
俺矛盾してるって分かってたし
ガキだなって思ったよ?
だけどあいつの家に
嫌がらせした…」
「あなたって…ホントにガキね」
「…なっ!!」
「あっ…ごめんなさい」
トムはどんどん顔が赤くなる
「……まぁ…俺の性格だから
ハッキリ言ってもらえたほうが良いけど…」
「あら…素直ね…」
「…あんたって雰囲気が
コロコロ変わるのな…」
「…違うんじゃない?」
「えっ?」
「あなたが今変わろうとしてるから
私を見る目が変わったのよ」
「…俺が変わった…?」
「さっき私に思っていたこと
言ったでしょ?
あなたは確実に前へ進もうとしてるわ…」
トムはさっきまでのトゲトゲしさは無く
照れくさそうに笑った