「…トムの言う`同じ苦しみ'って言うのは
いつかはお姉さんを…じゃなくて
お姉さんと同じ顔をした人が
居なくなってまた苦しむってこと?」
「……あぁ…あと
女の人にもこう言った…
『あんたさ、自分の姿見たことあんの?』
『見てみろよ!自分が嫌になるぜ!?』
あの女の人はガラス越しに……
姉さんの顔をした女がっ!
俺を他人の目で見てた!
…あの女が姉さんじゃないことぐらい分かってるけど
……何か悲しくなって」
「…その人…何て言ってた?」
「…自分が姉さんってこと
分かったみたいだった
写真か何かで姉さんを
見たことがあったのか…
そのまま…見えなくなった
もしかしたら倒れたのかもしれない」
「……じゃあ何も知らなかったのは
トムだけじゃないのかもな…」
「俺…ダメだな…
いっつも感情に流されて
後で後悔するんだ…」
しゃがみこんでるトムを
横切り窓の外を見る
「……泣くほどな…」
緑の心地良い風が吹き抜ける
今の心と真逆で何故か切なくなった