(サイアクだ――…)




本当に、聞く前に逃げる
べきだった。



嫌な予感はしてたくせに、
あたしのバカ。




ホラ……彼女の声がもう、
耳から離れないじゃない。






―――彼女が、宇佐美
課長の奥さん。




課長とおそろいの結婚
指輪をつけてる人。




課長の子供をお腹の中に
宿してる人。




課長の隣に寄り添って、
一緒に笑うこと、生きる
ことを認められてる人――…。



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