缶ジュースをゆっくりとベンチの横に置く。


あたしたちがいる公園には人っ子一人おらず、11月の肌寒い風だけがあたしたちのいるベンチを通り抜けていった。





あぁ…どうしよう。

手が震える。これはこの寒さのせい?



それとも……――――。












ギュッ…。



あたしの冷たい手に暖かい手が握られた。


寒さなんて知らないようなぽかぽかしてる大きな手。


あたしはそっと伏せていた顔をあげ、彼を見た。













「大丈夫?」








…まただ。


今まで大丈夫なんて心配された事ない。


大丈夫?なんて聞かれた事ない。


まるであたしは道端に転がる石ころみたいに誰かに瞳を向けられた事なんてなかった。