「彼氏=暇つぶし」


あたしは彼氏ってそんな存在だと思っていた。


君に出会うまでは…




季節は冬の終わり。

3月のはじめ、1人の男子に恋をした。
名前は佐々木勇太。
あたしは中学2年生で、勇太は高校2年生。

「恋愛には興味ない」
最初会ったときに勇太はそう言っていた。

その頃あたしに彼氏はいなかった。
「欲しいな」なんて思っていたときに勇太に出会った。
本当は勇太じゃなくて、誰でもよかったんだと思う…。

あたしたちは、かなりの遠距離だった。
当然、会えるわけもなく毎日メールや電話で寂しさを紛らわせていた。

「樹衣~」
「なに~」
恥ずかしがり屋のあたしは、電話しても自分から話題を出すことはなかった。
「来年、会いに来てや」
「うんっ」
電話するたびに約束をする勇太。
自分は必要とされているみたいで…そのときは嬉しかった。