野戦病院と化した喀什の宿営地で、アレクセイ分隊の面々は手当てを受ける。

比較的傷の少なかった妃が中心となって医療チームを編成し、全ての負傷者の治療を行う。

…その宿営地の外では、まだ戦闘は続いていた。

残った兵隊AOKと一般兵士との戦闘。

とはいえ、最早AOKに戦意はないという。

グランドマザーを失った彼らは逃げる事に精一杯。

兵士達はそのAOKを掃討しているらしい。

最後の一匹まで根絶やしにすべく、追撃部隊を編成するらしい。

「……」

蒼真が複雑な表情を浮かべる。

AOKを根絶やしにすれば戦争は終わる。

作戦前は、確かに彼もそう考えていた。

しかし…。

「どっちが悪者かわかりませんね…」

胸に包帯を巻かれたシオンが、俯き加減に言う。

「戦争に正しい者などいないさ」

ルシファーの言葉は、どこか自嘲気味だった。

「誰が悪いって言うのなら…戦争に関わった奴は皆悪者さ…」