遺言通り、グローレンの亡骸はその場に残して。

アレクセイ分隊はAOKの巣穴を後にする。

不思議な事に、脱出する彼らに襲い掛かるAOKは皆無だった。

障害など何一つなく、彼らは無事地上に到達する。

「アレクセイ分隊だ!」

「連中が戻ってきたぞ!」

「という事は…」

「俺達の勝利だぁああぁあぁぁっ!!」

アレクセイ分隊の姿を見とめた事で、大歓声が巻き起こる。

…見れば、無傷な兵士など誰一人としていなかった。

アレクセイ分隊と同等か、それ以上の重傷を負った兵士までいる。

それでも、彼らはすぐに隊員達に肩を貸し、手当てを施し始めた。

臓器移植実験被験者のルシファーにさえ、多くの兵士達が手を貸し、ねぎらいの言葉をかける。

最早完全抗体保有者も一般兵士もない。

何の隔たりも区別もなく。

全ての者は傷ついた者を庇い合った。