鍔元まで達したグローレンの刺突。

グランドマザーが悲鳴を上げる。

「す…すごい…」

妃の手当てを受けながら、蒼真が驚嘆の言葉を呟く。

同じく剣術の道で『双剣の神』と呼ばれる彼にはわかる。

グローレンの振るう剣術が、どれ程の域にあるのかが。

単純な剣術ではない。

その気迫、その体裁き、一挙手一投足までもが、一切の無駄を省いたもの。

実際に戦場に立つ者が極限まで磨き上げた、実戦剣術。

だが。

「もう止せ…」

同じく妃の手当てを受けていたルシファーが言う。

「もう止せジジイ!年寄りの冷や水だ!すっこんでろ!」

その呟きは、やがて怒鳴り声になった。

「何を言うんですかルシファー少佐!」

シオンがルシファーを制する。

「あのままグローレン少将に任せれば、グランドマザーは倒せますよ?」