次々に倒れる隊員達。

せっかく有効なダメージを与えたにもかかわらず、最早ここまでのように思われた。

恐らくは時雨分隊と同等か、或いは上回る戦闘能力を持つであろう部隊。

そのアレクセイ分隊でさえ、これ以上の戦闘続行は困難だった。

「わ、私が…」

シオンが無理をして立ち上がろうとするが、彼女とて肋骨が折れている。

「む、無理よシオンちゃん!折れた骨が内臓を傷つけてしまうわ!」

妃が彼女の体を押さえつける。

…これまでか。

妃の胸に、最悪の結末がよぎる。

と。

「妃少尉、隊員達の手当てを」

背後で声がした。

振り向いた妃の後ろに立っていたのは、老齢の軍人。

人類初の完全抗体保有者、ディック・グローレン少将だった。

「若き兵士達だけに苦難を味わわせはしない。ここから先は私が引き受ける」