グランドマザーが、巣穴を崩壊させるのではないかというほどの咆哮をあげる!

事実震動に空気が震えた。

思わず妃が竦んでしまうほどの雄叫び。

直後、グランドマザーは妃目掛けて突進しようとして。

「!!」

背後から引っ張られるような感覚に足を止めた。

「お前はどれだけ言ったら…ぐふっ…わかるんだい…」

腹を貫かれたまま、ルシファーがグランドマザーの尻尾を引っ張っている!

「お前が僕を殺してくれなきゃ…困るだろ…?」

細身の外見からは想像もつかないような力で、グランドマザーの巨体を引きとめるルシファー。

血に染まったその顔で、彼は妃を見る。

「早く…あのドイツ人のお嬢ちゃんを手当てしてあげな」

「で、でもルシファー少佐も大怪我を…」

「わかってないね…あんた臓器移植実験の考案者なんだろ?僕は再生能力も半端じゃないんだよ」

薄く笑むルシファーだったが、とても傷の再生は追いついてはいないようだった。