その頃。

「よしっ…」

地面に横たわったマザーの姿を確認し、皓が息を吐く。

時雨分隊はようやく、マザーの撃退に成功していた。

各隊員多少の傷は負ったものの、致命傷に至った者は皆無。

かつての彼らと比較しても、訓練の成果がはっきりと結果に出ていた。

「よし、全員奥へと進軍するぞ」

ラルフが隊員達の顔を見渡す。

グランドマザーはアレクセイ分隊に任せた…確かにそうは言ったものの、相手はマザーを上回る巨体だと聞いた。

決して楽に駆逐できる相手ではないだろう。

「急ごうよ、皆。きっとあの人達苦戦してるよ」

奈々がアタフタしながら言う。

「落ち着け奈々、彼らだって一流の兵士だ。そう簡単にやられたりしない」

晴が奈々の肩に手を置く。

「そうだ。僕達が浮き足立っては、かえってアレクセイ分隊に迷惑をかける」

綾斗も刀を鞘に納めながら、昂ぶった気持ちを抑える。

「時雨分隊、これよりアレクセイ分隊の援護に…」

ラルフが言いかけた時だった。