対峙するルシファーとグランドマザー。

思い出す。

ルシファーは死に場所を探していた。

『化け物』に成り下がってしまった己を殺してくれる相手を探していた。

しかし。

「ルシファー少佐」

その背中に妃が語りかける。

「無闇に自分を傷つけるのは止しなさい」

「……」

振り向くルシファー。

「自傷する事で貴方の『心』は満足できても、貴方の『肉体』は涙を流しているわ…貴方の体から流れる赤い血が、涙よ…」

妃は説き伏せる。

ルシファーが自分自身を『化け物』と蔑んでも、彼の肉体そのものがまだ人間であり続ける事を諦めていないのだ。

「生きて帰るんだ、ルシファー少佐」

アレクセイが言う。

「ええ…私が貴方の肉体の体質改善の為に尽力するわ」

妃は微笑みかけた。

「贖罪の続き…私にさせてちょうだい?」