マザーをそのままもう一回り大きくしたような姿。

その身長は10メートル近い。

最早SF映画に出てくる宇宙怪獣だ。

長い尻尾はそれ自体が大蛇のように蠢く。

無機質な、感情を感じさせない眼が、ギョロリとアレクセイ分隊を見つめた。

「コードネーム『グランドマザー』…」

妃が呟く。

「気をつけて…体躯に見合った怪力の持ち主よ…生命力もそれ相応にあると見ていいわ」

「…ぅきゅうっ…!」

卒倒しそうになるのを必死に堪え、シオンが軍刀を握り締める。

「恐怖心はポケットの奥にでもしまっておけ、シオン少尉」

蒼真が二刀をスラリと引き抜く。

「お前には期待している。残念だがか弱い女扱いはしてやれないぞ」

その横ではアレクセイが足場を確認していた。

彼の肢曲は、安定した足場を確保しなければ使えないのだ。

肢曲でグランドマザーの囮を買って出る。

アレクセイはそのつもりでいた。