苦悩するルシファーに対して。

「何故って…」

妃の方こそ困惑しているようだった。

そんな事を私に説明させるのかと言わんばかりに。

「許す許さないは私が決める事ではないけれど…贖罪の為に何かしたいの…私がルシファー少佐の立場でも、同じように臓器を移植した相手を殺したくなるだろうから…」

「……」

考えられないお人好しだ。

ルシファーが妃の立場なら、自分が恨まれてまで贖罪しようとは思わないかもしれない。

今まで自分の事だけ考えて生きてきたから。

他人の為に生きようなんて考えた事はなかったから。

…アレクセイ分隊の面々を見る度に、ルシファーは偽善者と嘲る一方で、どこか目を背けてしまいたくなるような感情に駆られていた。

今の妃を見ていると、その理由がハッキリするような気がする。

もしかしたら…。

(僕はこいつらが…羨ましかったのか?…眩しく見えたのか?)