ルシファーが呆気に取られる。

確かに拒絶反応の苦痛は、僅かずつではあるが緩和されつつあった。

流石にAOK臓器移植実験の考案者だ。

その発作を緩和する薬も効果は覿面である。

しかし…。

(何故僕を助ける?)

ルシファーの頭の中に疑問符が渦巻く。

理由はわかる。

彼をモルモット扱いしてしまった事に対する免罪符を求めているのだろう。

妃が自ら過去の大罪を告白したのも、この薬を開発したのも、ルシファーに対して許しを乞う為なのだろう。

だが、何故許しを乞う?

一度罪の告白をした彼女を、ルシファーは殺そうとしたのだ。

自分を殺そうとした人間を、いや、化け物を、何故この女は助けようとする?

そう訊ねようとして。