今まで何をするにも一人だった。

リトルクリーク基地でAOK臓器移植実験被験者として選ばれ、一般兵士がこなせないような危険な任務の時には駆り出されていたものの、それを『仲間の為に』などと思った事は一度もない。

連中の尻拭い。

その程度にしか感じた事はなかった。

仲間意識など感じた事はない。

どんな窮地に立たされても、自分一人で何とかするしかない。

誰も助けてくれる事などなかった。

何しろ、自分より強い奴なんていないと思っていたから。

しかし今、アレクセイ分隊の面々は、己の危険を顧みずにルシファーを救おうとしている。

巣穴の入り口で、一般兵士達とアレクセイ分隊がお互いに庇い合おうとしていたように。

救う対象が『化け物』で『失敗作』のルシファーであっても、彼らは何ら躊躇する事はなかった。

それまでその行動が理解できなかったルシファーにも、自分がその立場に置かれる事でようやく認識できる。

…何故だろう、目尻に涙が浮かんだ。

「仲間ってのは…いいもんだよね…」