その後も無数の分岐に遭遇するものの、ルシファーの判断によってアレクセイ分隊は進んでいく。

ルシファーの感覚は確かなようで、一度たりとも行き止まりや待ち伏せにあう事はない。

まるで勝手知ったる場所とばかりに、ルシファーは躊躇いなく巣穴の中を歩いていた。

「驚いた…こうまで優れた感覚を持つものなのか…」

ルシファーの後に続きながら、蒼真が感服したように言う。

「研究の結果わかった事なんだけど」

妃が口を開く。

「AOKには鳴き声以外にも、人間には聞き取れないような高音域の…いわば音波のようなものを発しているらしいの。もしかしたらルシファー少佐は、それらを聞き取れるのかもしれないわね」

同じ臓器移植実験被験者でも、時雨は人間寄り、ルシファーはAOK寄りである。

それ故にAOKの音波を感知できるのはルシファーだけなのだ。