ここは分隊長であるアレクセイの判断に任せるしかない。

「大丈夫だ分隊長、仮にルートを誤ってAOKの待ち伏せを受ける事になっても、誰も責めたりしない」

蒼真が言う。

シオンと妃の二人も、アレクセイを信頼した様子で頷く。

が、出来る限り危険は少ない方がいい。

何か正確なルートを見抜く方法はないものか。

思案するアレクセイ。

その隣で。

「何をグズグズしてるんだい」

確信さえ感じさせる足取りで、ルシファーが歩み出た。

左右に分かれる分岐。

その左を迷わず進んでいく。

「ルシファー少佐」

アレクセイが呼び止める。

「この巣穴を知っているのか?」

「そんな訳ないだろう、僕だって初めてさ。でも」

ニヤリと不敵に。

ルシファーは笑みを浮かべた。

「何て言うのかな…『匂い』というか『気配』でわかるのさ…同じ化け物同士、通ずるものがあるっていうのかな…」

AOKの臓器を持ち、感覚さえも限りなくAOKに近いルシファーにしかわからない気配。

彼のその鋭敏な五感が、巣穴の奥深くに潜むグランドマザーの存在を感じ取っているのだ。