やがて闇に目が慣れてくる頃。

アレクセイ分隊は巣穴の分岐点に差し掛かる。

蟻の巣のように入り組んだ巣穴には、このような分岐がこの先幾つも存在する。

「どうするの?アレクセイ大尉」

妃がアレクセイに意見を求める。

とはいえ、当然アレクセイも巣穴への潜入は初めての事だ。

どちらへ向かえばグランドマザーに辿り着くのかなど、分かる筈もない。

手分けしてルートを探すのが手っ取り早いが、この危険な場所で部隊を二つに分けるのは避けたい。

「運任せですね…」

シオンが不安げに呟く。

普通敵地に突入する際には、事前に潜入工作員などを送り込んで正確なルートの情報などを入手しておくものなのだが、AOKの巣穴に潜入工作員を送る訳にもいかない。

これまで喀什に近づく事すら出来なかったのだから。