巣穴の入り口を潜り抜け、ほんの数メートルも進まないうちに、内部は闇に包まれた。

僅かに差し込む明かりさえも存在しない、完全なる闇の世界。

アレクセイ分隊の隊員達は、各支部で夜間戦闘訓練も受けている。

多少夜目が利く。

が、あくまで人間としては夜目が利くという程度だ。

人間を超越したAOKに比べれば、視界は限りなく無いに等しい。

が、照明などはできるだけ使用は避けたかった。

勿論装備品の中にライトはあるのだが、明かりを灯すという事はこちらの居場所が筒抜けになるという事だ。

ましてやここはAOKの本拠地。

周囲には敵しかいないのだ。

アレクセイ分隊だけが目立って、狙い撃ちにされるのはまずい。

息を殺し、忍び足で。

隊員達はより深い場所へと進んでいった。