ユラリと。

ルシファーがアレクセイ分隊の面々に顔を向ける。

…その表情は険しい。

いつも薄笑みすら浮かべ、自分以外の全ての人間を嘲るような表情をしていたルシファーが、今この場に至っては怒っているようにさえ見えた。

「ルシファー少佐…助けに来てくれたんですか…?」

恐る恐る訊ねるシオンに対し。

「寝ぼけるな、夢見てるのかい?」

「ぅきゅっ!」

キツイ返答。

シオンは身を縮こまらせた。

…ルシファーの視線は分隊長のアレクセイへと移る。

「何故進まなかったんだい?」

「何?」

ルシファーの言葉にアレクセイは訝しげな表情を浮かべる。

「一般兵士を囮に使えば、巣穴に突入できただろうに…」

「馬鹿を言うな!」

アレクセイの声に怒気がこもる。

「仲間を見殺しにしての勝利に何の意味がある」