それは突然の事だった。

数十人数百人の一般部隊を前にしても有利に戦闘をすすめていたマザー。

その頭上から舞い降りてきた人影により。

「っ!!!!!!」

マザーの首が宙を舞う!

まさに一刀両断の剛剣。

如何に対AOK弾を雨の如く浴びて多少は弱っていたとはいえ、あの巨大で野太いマザーの首を一撃の下に断てる兵士など、どんなに鍛錬を繰り返しても並の人間では不可能だった。

超人的な運動能力を持つシオンですら、一撃となると難しいかもしれない。

それを、『この男』はやってのけた。

血に塗れた10式近接戦闘用軍刀を片手にぶら下げ、そんな剛腕の持ち主とは思えないほどの華奢な細身で幽気すら漂わせている男。

「ル…ルシファー少佐…」

目の前に現れた最後の仲間に、妃は驚愕の声を上げた。