やがて、巣穴の入り口まであと十数メートルと迫った。

近くまで行くと、巣穴の入り口はまるで大洞窟のようだ。

人間とほぼ同等の大きさのAOKが無数に生息しているのだ。

このくらいの大きさでないと生活は出来ないだろう。

…いよいよだ。

この中には地上以上に数多くのAOKが潜んでいる。

流石の蒼真でさえも、ゴクリと息を飲む。

「できるだけ密集隊形を組め。各自仲間の背中をがら空きにしないように…」

突入前にアレクセイが指示を出していた時だった。

ズシン、と。

地響きにも似た音が耳に届いた。

「……地震?」

シオンがキョロキョロと周囲を見渡すが、この近辺以外に地響きに気づいた者はいない。

「地震じゃないわ、音はこの巣穴の奥から聞こえてきてるみたい…」

妃が暗い巣穴の入り口に目を凝らす。

…その巣穴の暗闇の中。

「っ!?」

双眸にも似た鋭い光が、彼女の方を睨んだ。