鋭い踏み込みと共に無数のAOKを刻んだシオンは、あっという間に蒼真と妃の包囲網まで到達する!

とはいえ、少々無理な動きをしすぎた。

驚異的な身体能力を持つシオンとて、度を過ぎた運動能力の発揮後には『解放』の隙が生じる。

そこを本能的に察知したAOKの群れが、シオンに殺到する!

「く…!」

すぐには動けない。

歯噛みするシオン。

そんな彼女の腕を。

「シオンちゃん!」

妃が強引に引き寄せた!

よろめき、転倒して膝小僧を擦り剥いたシオンだったが、AOKの牙を突き立てられるよりは遥かにマシだ。

「妃さん!」

既にシオンの表情から『死神』の色は失せ、いつものフンワリとした愛らしい少女の顔が戻ってきていた。

「少しは私も役に立たないとね」

妃は軽くウインクして見せた。