その瞬間、アレクセイの『肢曲』を死角にして待機していたシオンが、スゥッ、と息を吸い込んだ。

その瞳が光を宿す。

普段のおっとりとした、気弱な少女の姿はどこにもない。

悪天候時などに船のマストの先端が発光する現象『セントエルモの火』の如く、神秘さすら湛えた眼光。

それとは裏腹にシオンの全身から漂うのは、神秘さとはかけ離れた攻撃的な気迫!

神聖さと不吉さ。

相反する二つを併せ持つ可憐な少女。

それがシオンの異名『セントエルモの死神』の由来。

瞳に光湛える鎌持たぬ死神は。

「!!!!!!!」

紫電の如き疾風の動きで、並み居るAOK達を軍刀の錆とする!