シオンとアレクセイがAOKの群れを引きつける間に、負傷した者、弾切れになった者は基地へと帰投する。

その最中。

「そこの貴方」

妃が肩を押さえている兵士を呼び止めた。

どうやら肩を脱臼しているらしい。

妃はそんな彼の痛めた肩を、強引に捻り上げる!

「いでででで!」

負傷者に手荒な行為。

周囲で見ていた者達は目を疑ったが、次の瞬間。

「あ…あれ…?」

兵士はキョトンとする。

脱臼していた筈の肩の関節がはまっている。

「外れた肩ははめておいたけど…痛みは残る筈よ。基地でちゃんと手当てを受けて」

そう言って妃は、慈愛に満ちた笑みを浮かべた。