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『私たちには、山南さんは必要です』
気休めにしかならないかもしれないけれど、でもそれは事実だ。
新撰組という組織には、山南という人間は必要なくなったかもしれない。
けれど、彼らには必要な存在だと思える。
特に土方に言えるのではないかと矢央は思いながら、山南の隣で酌をする綺麗な芸妓・明里を見た。
「さっさっ、山南さん! 今日は、たーっくさん飲みましょうよ! 明里さん、ほらほら山南さんに酌をしてあげてね!」
「藤堂はん、今日はえらく飲ませたがりますなぁ? 山南はんは、味わって飲みはるんがお好きなんどすえ」
「あはは、まあ今日は飲みたい気分だしね。 藤堂君も、私にばかり勧めてないで、君も飲みなさい」
なんだかな。と、矢央は腑に落ちない。
数日前は、もう立ち直りようがないほどに落ち込んでいた山南が、嘘のように明るい。
明るすぎて、痛々しい。
やはり気休めにしかならなかったか。 と、溜め息が漏れた。
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