総長と言えば聞こえは良いが、山南に組織へ対する権限など一切なく、主な役目といえば近藤の相談役といったところ。

たまに勘定方を纏めたりもし、刀を握る仕事からは遠ざかっていた。



「ある日、土方君にその役職につけと言われた時思ったよ。 ああ、私はもう此処には必要じゃなくなったのかもしれない、とね」


それでも、刀を握れなくなった役立たずでも、新撰組にいられる間は何か役に立ちたいと思った。


血の気荒い彼らの歯止め役にくらいならなれるだろうと、自分の出来る範囲で彼らの相談役になってきた。


しかし、伊東が来てから様子が代わり始める。


山南よりも学が立つ伊東は、山南より上の立場につき、伊東の学に惚れ込んだ近藤は、それまで山南にしていた相談事を全て伊東にするようになってしまった。


ますます彼の居場所はなくなってしまう。




「新撰組とか役職とか、そういったことは難しくて私には分からないけど……」


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