落ち着いた頃、紫苑の腕の中から這い出た。 下を向いたまま、 まだ拭い去りきれない不安を抱えつつ、 「あたしの話、聞いてくれる?」 と言った。 ところどころ聞き取りにくかったのか、紫苑の返事は遅かった。 「……聞く。聞くから、ゆっくりでいいから」 こんなに紫苑が優しいのは初めてで、逆に怖くなった。 でもそれすらもどうでもよくて、聞いてほしかった。