「……知らないよ。直は元気?」 「あぁ、この前退院した」 「そう、ならよかった」 これ以上はダメ。 美羽は教室を出ようとした。 トン ふわりとやさしく壁に押しつけられた。 腕を掴んだりはしないで。 でも紫苑の両手が美羽の顔の脇にある。 逃げられない。 「何か言うまで逃がさねーよ?」 楽しそうに笑う紫苑がいる。