病室に入ればとても元気そうな顔をした青年が一人。


このひとが直。



顔や腕、布団で見えないけど足にもあるはずだ。


傷跡や包帯が。



それがとても痛々しい。




「大丈夫か?」


紫苑が声をかければ、


「……はい、すいません」

大地は何も言わない。


「なんか特徴とか覚えてるか?」


紫苑は仇をうつつもりなのだろうか?


「腕の、ここら辺に十字架の刺青がありました」


直は肩に近い左の二の腕を指で指しながら答えた。




美羽の願いを神様は聞き入れてはくれなかった。