「各務紫苑、ありがとう」


そういえば呆れた顔をされた。



「お前いつまで俺のことをフルネームで呼ぶ気?」



たしかに。



ほかの人はみんな呼んだことはないけど、美羽の頭の中では名前で呼ばれている。


普段は“ねえ”とか肩をトントンとしていた。


よく考えれば各務紫苑だけはフルネームだった。


「なんて呼んでほしい?」



一応、希望はとっておいてやる。


「紫苑か、総長」


「は?早朝?」


「おれは早起きか!」


ただのジョークなのに、本気で怒られた。


「なら紫苑だね」


総長は却下だ。


なんか総長ってよんだら、あたしまで天竜の一員みたいだから。