そしたらまた腕を捕まれた。
今日はよく腕を捕まれる日だな…………。
「なに?」
「お前……」
最後まで言わない各務紫苑に痺れを切らし、美羽は思ってもいないことを言った。
「離してくれない?助けてくれたことにはお礼いうけど、私は早く帰りたいの」
嘘だ。
翔太が用意した無駄に広い部屋になんか帰りたくない。
でも族に関わると自分の正体がバレると思ったから。
翔太との約束は絶対だから。
「……っ、あっそうかよ。悪かったな」
各務紫苑は美羽の腕を放し、先にあるいていってしまった。
それから美羽はとぼとぼと家に帰った。