そんな美羽の心のなかの忠告ももちろん聞こえるはずがなく、壁に美羽を押しつけた。


「暇だよね?」


この期に及んでまだ暇かどうか聞いてくるこの二人組にとうとう嫌気がさして、急所でも蹴ってやろうかと思えば横から声がした。



「おい、何やってんの?」



この声は聞いたことがある。




さっき聞いたばかりの声。




「……各務紫苑」



美羽の声が路地裏に響いた。