大好きな仲間はみんな捕まり、みんな意識ははっきりしているものの、ぼろぼろだった。
美羽は加えていた飴を手に持った。
「……っえ?」
意味がわからない。
理解不能。
「美羽、」
聞いたことのある声が自分の名前を呼んだ。
「……翔太」
自分がみんなを守るはずの総長なのに、本能が動くことをためらわせる。
目の前に現れた一人の男。
「美羽、分かるよね?状況」
小さく頷くしかなかった。
「美羽が動けば、みんな一斉に……こうだ」
そういって自分の首の前で指を横に動かした。
“いつでも殺せるぞ”
そういう意味にしかとらえられなかった。