「……美羽」



紫苑はできるだけ正確にあの話を天竜のみんなにした。


どこか沈んだ顔をしているみんなをほったからし、自分は幹部しかはいれない部屋に入った。




「紫苑、美羽のこと、好きだったでしょ?」




大地に言われて、紫苑は少し考えた。





「好きになりかけて……ただけだよ」


「ふぅーん」


大地は納得いってないみたいだ。





好きになりかけてた。





自分にそういい聞かせた。





あきらかに勝ち目はなかった。