職員室には兄貴である長谷川和真(ハゼガワカズマ)がすでにまっていた。


「遅くね?」


「わりっ。迷った」


それだけで和真は納得してくれた。


あたしが方向音痴なのはよく知ってるからね。



「とりあえず、母さんたちに何も聞くな!って言われてるから聞かないけど、注意しろよ!」



主語をください。




あたしは何に気をつければよいのでしょうか?



「……全国No.2の天竜ばっかの学校だからな」



声を小さくして、教えてくれた。




まわりにはたくさんの族。


これも翔太が仕組んだ環境としか思えなかった。



「行くか……」


「うん……」



不安は拭いきれない。