「まず、ごめん。
会えないなんて言って。」

首をふるふると横に振って
謝らないでと伝えたつもりだった。

「ううん。謝らせて。
ごめんなさい、小夜。
きっと沢山傷つけたよね。
本当、ごめん。」



けど、きぃはその気持ちを受け取ってはくれなかった。

謝られたら、きぃに他意があるんだって思っちゃうのに..。
思わず眉間にシワがよる私に
きぃは困った顔をして、
でも。話を続けた。



「俺、小夜に会わなかった間に、いくつかしなきゃいけないこと、してた。」


「う、ん..??」



「一個は、進路。」


ドクンと心臓が大きく鳴ったのが脳に響いた。
手の中のソルトが私をあやすように撫でる。
大丈夫、大丈夫。
小さいナイトに目をやって、
こくんと頷いた。

「俺、地方の大学に行くよ。」




「....地..方??」



「そう。出来れば...岐阜に。」





「....岐阜??
え...もう...それは...」



決定なの??と言葉を紡ぐ前にきぃが頷いた。


「それを決めるために、小夜に内緒で岐阜に行ってた。」


「どうし「小夜に言ったら。地方の大学なんか行くの、辞めたくなっちゃうから。小夜優先して、後で小夜に嫌われちゃうから。」



私の言葉を遮って話すきぃの
言葉が半分位通り抜けていったけど。


きぃはもう、岐阜に行くことを決めてきたんだってことは....わかってしまった。



「もう、反対しても、俺は行く。小夜が何と言おうと、俺は行くんだ。ごめん小夜。」



あぁ、本当に...さようならなんだ...。

その¨ごめん¨は、何に対しての¨ごめん¨ですか..??

さようならの、ごめんですか..??

そんなの、そんなの...

「ヤダ。」


「小夜...。」
.

「ヤダ。ヤダヤダヤダヤダよ」