『おい、女』


俺はそう言って後ろに居る彼女を見ず言った。



『逃げろ。』



「……っ!!でもっ」



『いいから。俺は平気』



自信は全くないが、彼女を守りたいと思ったのは事実だった。



「……無事で…居てください」



そう言って、静かに俺の手を握った彼女にどくんっ―…と音をたてて熱いものが込み上げてくるような感覚になった。



彼女が走って去っていくのを確認すると、そいつを睨みつける。



『……あんた、あの子の何なの?』

低い声で言うと、そいつの歯がギリギリ鳴った。


「あの子は僕の天使さ。僕は王子様。僕とあの子は結ばれる運命」


ニタリ、ニタリと笑うコイツ。


『お前はあの子を苦しめてる』


「何?……そうか…お前は邪魔をするものだな。」


『…はぁ?』


「邪魔するやつは、消してやる!!!」




目を大きく見開き、ニタニタ笑うそいつに背中がのけ反る。